広告代理店を変えたいなら、判断基準の確認と契約解除・権限移管・データ引き継ぎの手順を押さえることが、成果を落とさず乗り換える最大の鍵です。
監修者松尾 洸 / 株式会社エネイブル 代表取締役
- 本当に代理店を変えるべきかの判断基準と自社側の要因チェック
- 契約解除で確認すべき最低契約期間・解約通知期限・違約金の実務
- 広告アカウントの権限移管とデータ引き継ぎの具体的な手順
- 配信を止めずに切り替えるタイミングの見極め方
- 既存代理店への断り方のテンプレートと乗り換え事例の数値
「変えたい」は正しい直感か?3つの着眼点で最初に自己診断する
「変えたい」という感情の裏に、成果停滞・対応の遅さ・自社側の目標設定ミスのどれがあるかを分ける必要があります。原因が自社にある場合、乗り換えても改善しないケースがあるため、最初に切り分けることが重要です。
乗り換え・担当変更・インハウス化、どの選択肢が最適か比較
| 選択肢 | 切替までの期間 | 成果の再現性 | 適したケース |
|---|---|---|---|
| 別の代理店に乗り換え | 1〜2ヶ月(引き継ぎ含む) | ◎実績豊富な代理店なら早期改善しやすい | 運用力・体制そのものに不満がある場合 |
| 同代理店内で担当者変更 | 即日〜1週間 | △構造的な問題は残りやすい | 担当者個人の対応が原因の場合 |
| インハウス化 | 3〜6ヶ月(採用・育成含む) | ○長期的にはノウハウが蓄積 | 広告費規模が大きく専門人材を確保できる場合 |
乗り換えの実務手順で押さえるべき7つの要点
①権限移管を正しく踏めば配信停止期間ゼロで切り替えられる
Google広告・Meta広告の管理者権限を新代理店に事前付与すれば、配信を止めずに運用者だけを切り替えられます。
- Google広告は新代理店のMCCに管理者権限を付与し、旧代理店の権限は切替完了後に削除
- Meta広告はビジネスマネージャーの資産共有機能でアカウント自体は移動させず権限のみ切替
- 権限移管だけなら通常1〜3営業日で完了する
- 旧代理店が権限を渡さない場合は媒体側の「アカウント所有者」情報から強制移管を申請できる
権限移管は「渡してもらう」ではなく「事前に付与を依頼する」姿勢で進めると揉めにくいです。
②過去の学習データを引き継げば入札学習のリセットを防げる
既存アカウントをそのまま引き継げば、過去のコンバージョン履歴が保持され入札精度の低下を避けられます。
- 直近90日分のコンバージョンデータが残っていれば自動入札の学習は概ね維持される
- アカウントを新規作成すると学習がゼロからになり、CPAが一時的に1.5〜2倍に悪化する例もある
- 除外キーワードリスト・オーディエンスリストもCSVでエクスポートして引き継ぐ
- クリエイティブの審査履歴も引き継げれば審査待ち期間を短縮できる
③切替は繁忙期の3〜4週間前に設定すると成果の谷を避けられる
需要期の直前に切り替えると学習リセットの影響を強く受けるため、閑散期に前倒しで進めるのが安全です。
- 目安は繁忙期の3〜4週間前までに新代理店への引き継ぎを完了させること
- 切替直後の1〜2週間は旧新両代理店が同時に確認できる「並走期間」を設けると安心
- 完全停止→再開ではなく設定だけを移す方が学習データを保ちやすい
並走期間は最低でも1週間。両社にレポートを出してもらうと数値のズレに早く気づけます。
④解約通知は契約書確認→書面通知→口頭連絡の順で進めるとトラブルを避けられる
感情的な口頭連絡から始めるとこじれやすいため、契約条項の確認と書面通知を先に行うのが基本です。
- 最低契約期間(多くは6ヶ月〜1年)と解約通知期限(契約終了の1〜2ヶ月前が目安)を契約書で確認
- 解約希望日を明記したメールなど書面で送付し記録を残す
- 違約金の有無は「解約」「契約解除」の条項を確認する
- 「対応が悪かった」ではなく「事業方針の見直しで体制を変更する」など事実ベースで伝えると円滑
断る理由は具体的にせず「体制見直し」で十分です。角を立てずに済みます。
⑤相見積もりで運用費率を可視化すれば同予算でより高い成果を狙える
複数社に同条件で見積もりを取ると、運用費率や体制の相場が見え、適正な条件を選びやすくなります。
- 運用費率は広告費の15〜20%が相場帯(成果報酬型は条件が別)
- 見積もり依頼時は現状の広告費・CPA・CVRを同じ形式で全社に提示すると比較しやすい
- 質問項目例:レポート頻度、担当者体制、契約期間、解約条項、追加費用の有無
⑥乗り換え事例:切替2ヶ月でCPAが改善したケースの共通点
乗り換え後すぐに成果が出た企業は、事前のデータ引き継ぎと並走期間の確保を徹底していました。
- 例:EC企業でCPA6,800円→切替1ヶ月目7,500円(学習リセットの影響)→2ヶ月目5,200円に改善
- 共通点は過去データを持ち込んだことと、切替前に目標CPAを新代理店と再設定したこと
- 逆に準備期間なしで即日切替した企業は、3ヶ月間成果が戻らなかったケースもある
初月の悪化は想定内。3ヶ月目の数値で判断するようクライアントには事前に伝えています。
⑦媒体別・体制別に乗り換え基準を分けると判断がぶれない
リスティング・SNS広告・インハウス化では、乗り換えの判断基準や引き継ぎの難易度が異なります。
- リスティング広告:学習データを引き継ぎやすく乗り換えハードルは比較的低い
- SNS広告(Meta等):クリエイティブの審査履歴やピクセルの引き継ぎがカギになる
- インハウス化:人材確保に3〜6ヶ月かかり即効性は低いが、長期的なノウハウ蓄積に強み
乗り換え前に知っておきたい注意点
- 権限移管には旧代理店の協力が必要で、対応が遅い代理店だと引き継ぎに1ヶ月以上かかることもある
- アカウントを新規作成すると学習データが消え、一時的にCPAが悪化するリスクがある
- 最低契約期間内の解約は違約金が発生する場合がある
- 切替直後は新代理店側もアカウント特性の把握に時間がかかり、即座に成果が出るわけではない
- データ移行の担当が不明確なままだと、除外リストや過去のクリエイティブ資産が失われることがある
広告代理店の乗り換え手順5ステップ
契約書の条項と、直近3〜6ヶ月の広告データ(CPA・CVR・予算配分)を整理し、不満の根拠を可視化します。
最低契約期間・解約通知期限・違約金の有無を契約書で確認し、解約可能な最短日を把握します。
解約希望日を明記した書面(メール可)を送付し、権限移管の対応可否とスケジュールを合わせて依頼します。
管理者権限の付与、除外リスト・オーディエンスリスト・レポートのエクスポートを新代理店と共に進めます。
1〜2週間は旧新両代理店の数値を並行確認し、目標CPAを新代理店と再設定したうえで完全に切り替えます。
乗り換えに向いている会社・様子を見るべき会社
- 3ヶ月以上成果が改善せず、原因が代理店側の運用や対応にあると明確に判断できる会社
- 問い合わせから返信まで数日かかる、ミスの発生が繰り返されるなど対応品質に不満がある会社
- 現状の運用費率や体制を相見積もりで一度見直したい会社
- 運用開始からまだ1〜2ヶ月で、学習期間中の一時的な数値変動を不満と捉えている会社
- 目標設定や予算配分に自社側の見直し余地が大きく残っている会社
あわせて読みたい
- 成果報酬型広告を徹底比較【2026年版】料率と費用が一目でわかる
- リスティング広告の成果報酬は成立する?条件3つと向かない商材の見分け方
- 広告代理店契約の注意点7選|最低契約期間・解約条件・アカウント帰属を解説
コミットモンスターという選択肢
コミットモンスターは完全成果報酬型で、成果が出た分だけ費用が発生する仕組みです。広告費も原則0円で運用側が負担します。乗り換え直後の空白期間や学習リセットのリスクを抑えたい方に向いています。
権限移管・データ引き継ぎも実務経験を踏まえて丁寧に進めます。まずは現状の広告データを見せていただくところから相談できます。
よくある質問
- 広告代理店を変えたら成果はどれくらいで戻りますか?
-
アカウントをそのまま引き継げれば1〜2ヶ月、新規作成の場合は2〜3ヶ月ほどかかる例が多いです。データ引き継ぎの精度で回復期間は大きく変わります。
- 契約途中でも解約できますか?
-
契約書に定められた最低契約期間と解約通知期限を過ぎていれば解約可能です。期間内の解約は違約金が発生する場合があるため事前確認が必要です。
- 権限移管にはどれくらい時間がかかりますか?
-
旧代理店が協力的であれば1〜3営業日で完了することが多いです。対応が遅い場合は媒体側の所有者情報を使った強制移管の申請も検討します。
- 旧代理店に伝える際、どう言えばいいですか?
-
「対応が悪い」など感情的な理由ではなく「事業方針の見直しで体制を変更する」といった事実ベースの伝え方が円滑です。
- インハウス化と乗り換え、どちらを選ぶべきですか?
-
すぐに成果を改善したい場合は乗り換え、長期的にノウハウを社内に残したい場合はインハウス化が向いています。人材確保に3〜6ヶ月かかる点は留意が必要です。
まとめ
広告代理店を変えたいと感じたら、まず不満の原因が代理店側か自社側かを切り分けることが出発点です。契約条件の確認、権限移管、データ引き継ぎ、切替タイミングの4点を順に押さえれば、成果を落とさず乗り換えられます。準備なしの即日切替はリスクが高いため、並走期間を必ず設けましょう。



