成約率への不満を解決する方法は、大きく「今の代理店に具体的な改善要求を出す」「自社のLP・営業プロセスを直す」「代理店を乗り換える」の3つです。どれを選ぶかは、成約率がリード獲得率・商談化率・受注率のどの段階で落ちているかで決まります。追加コストが小さいのは、商談化・受注の結果を代理店に共有したうえで、数値目標と期限を付けて改善要求を出す方法です。期限内に改善しなければ乗り換えを検討する、という順番で進めると判断を誤りにくくなります。
監修者松尾 洸 / 株式会社エネイブル 代表取締役
- 代理店原因か自社原因かを判定する自己診断チェックリスト
- 月次レポートで見るべき5つの具体的なチェック項目
- 乗り換え前に確認すべき違約金・アカウント移管の実務
- 業界別(EC/BtoB/店舗集客)に多い成果不振の傾向
- 「成果保証」を掲げる代理店に潜むリスクの見分け方
「成果が出ない」の正体は3層に分かれている
広告代理店の成果不振は「①代理店の運用スキル」「②自社のLP・商材」「③目標設定のズレ」の3層に分けて考える必要があります。どの層に問題があるかを特定しないまま乗り換えても、同じ結果を繰り返すケースは少なくありません。
「改善要求」「乗り換え」「自社改善」どれを選ぶべきか
| 選択肢 | 効果が出る期間の目安 | 追加コスト | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 代理店に改善要求 | 1〜2ヶ月 | なし(現行契約内) | レポートの質は低いが担当者交代で改善余地がある場合 |
| 代理店を乗り換える | 2〜3ヶ月(引き継ぎ含む) | 違約金・初期設定費が発生する場合あり | 運用ノウハウ・提案力の不足が明らかな場合 |
| 自社側を改善(LP・商材) | 1ヶ月〜(改修規模による) | LP改修費など | クリック率は高いがCVR・成約率が低い場合 |
自己診断チェックリストで見えてくる5つの判断ポイント
1. クリック率とLP成約率をセットで見る
広告のCTRが業界平均並みでも、LPのCVRが1%未満なら原因は自社側にある可能性が高いです。
- CTR1.5%以上・CVR0.5%未満なら「LPで離脱」が疑われる
- CTR0.5%未満なら広告クリエイティブ・キーワード選定が疑われる
- 両方低い場合は商材そのものの需要とターゲット設定を再確認
運用現場では、CTRだけ見て『広告が悪い』と早合点する担当者が多いですが、まずLPの離脱率を確認するのが先です。
2. 目標KPIがビジネスゴールと一致しているか
「CPA◯円以内」だけを追っていても、実際の受注率や単価が反映されていないと的外れな改善になります。
- 問い合わせ数だけを追い、商談化率・受注率を見ていない
- CPA基準が半年前の相場のまま更新されていない
- LTVを考慮せず単発CPAだけで良し悪しを判断している
3. 月次レポートに改善提案が具体的に書かれているか
「様子を見ましょう」だけで終わる月次報告が3ヶ月続いているなら、代理店側の運用姿勢を疑うべきです。
- KPI達成率と前月比・前年比の分析があるか
- キーワード・クリエイティブ別のパフォーマンス報告があるか
- 次月の具体的な改善施策(新規訴求・除外KW追加など)が書かれているか
4. 担当者交代の頻度と業界知見の有無
担当者が半年で2回以上変わっている場合、引き継ぎ不足によるノウハウ断絶が成果不振の一因になります。
- 自社の商材や業界特有の訴求ポイントを理解しているか
- 競合の広告出稿状況を把握して提案してきているか
- 媒体の仕様変更(アルゴリズム更新等)への対応が遅れていないか
担当者が変わるたびに『ゼロから説明』が発生している会社は、社内にノウハウが蓄積されていない証拠です。
5. 業界特性に合った施策になっているか
EC・BtoB・店舗集客では成果が出ない原因の傾向が異なり、同じ改善策が通用しないことがあります。
- ECはLPのCVR・カート離脱率が主因になりやすい
- BtoBはリード獲得後の営業フォロー速度・質が主因になりやすい
- 店舗集客は地域ターゲティングの精度不足が主因になりやすい
6. 「成果保証」の表現に法的リスクがないか確認
断定的な成果保証は消費者契約法や景品表示法に触れる可能性があり、契約前に確認すべき重要な判断材料です。
- 「必ず売上◯倍」など断定表現は根拠の提示が必須
- 根拠のない成果保証をうたう代理店は誇大広告リスクを抱えている
- 成果報酬型でも「成果」の定義(CV数・売上など)を契約書で明確にする
乗り換え・改善要求を進める前に知っておくべき注意点
- 契約期間内の解約は違約金(残期間の月額×数ヶ月分など)が発生する場合がある
- 広告アカウントの所有権が代理店名義になっていると、移管に時間がかかる
- 乗り換え直後は学習データがリセットされ、一時的にCPAが悪化することがある
- 自社原因(LP・商材)を放置したまま乗り換えても同じ結果を繰り返す可能性がある
- 改善要求ばかりで具体的な数値目標を示さないと、代理店側も改善の方向を絞れない
乗り換えを決めた場合の実務ステップ
多くの契約は「解約希望月の1〜2ヶ月前通知」が条件になっているため、まず契約書を確認します。
自社名義でアカウントを持っているか確認し、代理店名義の場合は移管手続きの手順を事前に聞いておきます。
過去の配信データやテスト結果を引き継げないと、新しい代理店はゼロから学習し直すことになります。
いきなり成果を求めず、現状分析と改善提案の質を1ヶ月かけて見極める期間にします。
乗り換え・改善要求どちらが向いているか
- 月次レポートに具体的な改善提案がなく、3ヶ月以上停滞している企業
- LP・商材側の要因は改善済みで、広告運用そのものの精度に不満がある企業
- 担当者の業界知見不足や交代の多さが成果不振の主因と特定できた企業
- LPのCVRが1%未満など、明らかに自社側の課題が未解決な企業
- 目標KPIがそもそも設定されておらず、良し悪しの判断基準がない企業
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「成約率」は3段階に分解して測る|リード獲得率・商談化率・受注率のどこで落ちているか
「成約率が低い」という言葉は、実務上は複数の異なる指標を指している場合があり、これを混同したまま代理店に改善要求をしても議論がかみ合いません。一般的には、①問い合わせ・資料請求に至る『リード獲得率』、②リードから商談に進む『商談化率』、③商談から受注に至る『受注率』の3段階に分けて計測するのが基本です。
広告代理店がコントロールできる範囲は主に①のリード獲得率までで、②③は自社の営業プロセスやオファー内容に依存する部分が大きいのが一般的です。『成約率が低い』と感じたときは、まずどの段階の数値が悪化しているかをCRMや商談管理シートで確認し、代理店に改善を求める範囲と自社で改善すべき範囲を切り分けることが必要です。
業界によって各段階の適正水準の目安は異なるため、一律の『良い/悪い』判断はできません。自社の過去実績(前四半期・前年同月)と比較して悪化傾向にあるか、または業界平均から大きく乖離していないかを確認した上で、代理店側の運用課題か自社側のプロセス課題かを見極めましょう。
- リード獲得率=広告経由の問い合わせ・資料請求数 ÷ クリック数
- 商談化率=商談に進んだ件数 ÷ リード数
- 受注率=受注件数 ÷ 商談数
- 3段階のうちどこで最も数値が落ちているかを先に特定する
- リード獲得率のみ悪化なら代理店・LP起因、商談化率以降の悪化なら営業プロセス起因の可能性が高い
今の代理店への改善要求の出し方|成約段階別に「依頼すること」と「渡すデータ」
「成約率を上げてほしい」という依頼だけでは、代理店は具体的な施策に落とし込めません。改善要求は、①どの段階の数値が落ちているか、②目標値、③評価する期限、の3点をセットで伝えるのが基本です。たとえば「商談化率を前四半期水準に戻す。2ヶ月後に再評価する」のように、測れる形で合意します。
代理店の運用は、一般に問い合わせ数やCPAを最適化の対象にしています。そのため、どの問い合わせが商談・受注になったかを代理店が知らないと、件数は増えても成約しにくいリードが混ざりやすくなります。月1回程度、商談化・失注の結果とその理由を代理店に返すことが、成約率改善の前提になります。
データ量に余裕があれば、受注データを広告側の最適化に使えるか代理店に相談する方法もあります。Google広告のオフラインコンバージョンのインポートや、MetaのコンバージョンAPIなどがその手段です。ただし、成果件数が少ないアカウントでは自動入札の学習が安定しにくい場合があります。導入の可否と、最適化の対象を「問い合わせ」と「商談」のどちらにするかは、自社の件数を見ながら決めましょう。
評価期限は、比較表の目安どおり1〜2ヶ月を基準にし、合意内容は議事録やメールで残します。期限が来ても合意した指標が改善せず、具体的な改善提案も出てこない場合は、前述の「乗り換えを決めた場合の実務ステップ」に進む判断材料になります。
- リード獲得率が低い:検索語句レポートの共有と除外キーワードの追加、訴求・LPのABテスト案を依頼する
- 商談化率が低い:無効リードの理由(予算不一致・対象外地域・業種違いなど)を代理店に返し、ターゲティングと訴求の見直しを依頼する
- リードの質を上げたい:フォームに予算・導入時期などの項目を追加するか検討する(件数が減ることがあるため、代理店と事前に合意しておく)
- 受注率が低い:主に自社の営業側の課題。初回連絡までの時間や提案内容を社内で見直す
- 共通:合意事項は「指標・目標値・期限・担当者」の4点で記録する
コミットモンスターという選択肢
自己診断で「自社側の課題はほぼ解決済み」と分かった企業には、運用体制そのものの見直しも選択肢です。コミットモンスターは完全成果報酬型で、成果が出た分だけご負担いただく仕組みです。
さらに広告費は運営側が負担するため、初期投資を抑えて運用を任せられます。月次レポートの質や改善提案の具体性を重視する企業に向いた運用スタイルです。
まずは自己診断チェックリストの結果を踏まえて、相談してみることをおすすめします。
よくある質問
- 代理店を変えれば必ず成果は改善しますか?
-
自社側のLPや商材に課題が残っていれば、乗り換えても同じ結果になる可能性があります。まず自己診断チェックリストで原因を特定することが先です。
- 契約期間中でも解約はできますか?
-
多くの場合、違約金や解約通知期限が契約書に定められています。解約前に必ず契約書の条項を確認してください。
- 広告アカウントは自社のものになりますか?
-
代理店名義で開設されている場合は移管手続きが必要です。契約前に「所有権は自社名義」であることを確認しておくと後々のトラブルを防げます。
- 「成果保証」をうたう代理店は信頼できますか?
-
根拠のない断定的な成果保証は誇大広告のリスクがあります。成果の定義や根拠データの提示があるかを確認しましょう。
- 業界によって成果が出ない原因は違いますか?
-
はい。ECはLPのCVR、BtoBは営業フォロー速度、店舗集客は地域ターゲティングの精度が主因になりやすい傾向があります。
- 乗り換え後、すぐに成果は出ますか?
-
アカウントの学習リセットなどにより、乗り換え直後の1〜2ヶ月は一時的にCPAが悪化することがあります。診断期間として見込んでおくことが大切です。
- 代理店は「CPAは目標達成している」と言いますが、成約につながりません。どうすればよいですか?
-
最適化の対象が問い合わせ数になっていて、件数とCPAは良くてもリードの質が伴っていない可能性があります。評価指標を、商談単価や受注単価など成約に近い指標へ広げるよう代理店と合意し直すのが一つの方法です。
- 商談・受注のデータを代理店に共有しても問題ありませんか?
-
顧客の個人情報を含む場合は、契約書や秘密保持契約、個人情報の取り扱いに関する取り決めを事前に確認してください。個人名を除いて、件数や商談化の有無、失注理由だけを共有する形でも改善に役立ちます。
- 改善要求を出してから、何ヶ月で乗り換えを判断すべきですか?
-
一般には1〜2ヶ月を目安に、合意した指標が改善したかで判断します。施策変更後は学習期間が必要なことや、成果件数が少ないと評価がぶれやすいことを踏まえ、期限は要求を出す時点で代理店と合意しておきましょう。
まとめ
成果が出ない原因は代理店だけでなく、自社側のLPや商材、目標設定にも潜んでいます。自己診断チェックリストで原因を切り分けた上で、改善要求か乗り換えかを判断することが失敗しない進め方です。乗り換える場合は違約金やアカウント移管などの実務も事前に確認しておきましょう。



